「ねぇ、せっかくのエイプリルフールなんだからさ、ちょっと悪ふざけしてみない?」「あ!それ良いね!!」
「どうせならこのクラスの男、みんな騙してみない?」
「そうだよ!特に女だからって見下すヤツ等をね♪」
嘘から出た…
4月1日。
誰が考えたのは知らないが、世間では嘘を付いても良い日…という事になっている。
では普段は嘘をつかないのか、と聞かれればそうでもないのだが
イベント好きな人間にとっては、今日にかこつけて わざわざ嘘を考える者もいる。「まず二人一組になって、一人が騙す役。もう一人はタネ明かし役でどう?」
「タネ明かし役って結構嫌な役じゃない?」
「何いってんの!一番オイシイじゃん!!」
そして楽しい事と悪戯が大好きな年頃の女がそれを見逃すこともなく、
低レベルな作戦が立てられていった。「でもさ、その騙すネタ…っていうか内容はどうするの?」
「ああ。それは私に任せて!は別の教室でタネ明かししてくれれば良いから」
「え……うん」
友人の何か企んでいそうな様子と、妙に楽しそうにしている表情には、
もしぶしぶ頷くしかなかった。しかし後々の事を考えれば、ここでちゃんとその内容を聞いておくべきだったのかもしれない。
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ガラ……
友人に「ここで待っていて」と言われ、一人空き教室で待っていた。
誰が自分達ペアのターゲットになり、可哀想な目に合うのかと思えば
そこに現れたのは綺麗な白髪をした人物だった。「浮竹くん…?」
「さん、本当にー…?」
『本当に?』と聞かれても、本人は友人が何と言って浮竹を騙したのかは知らない。
というか、教えてもらえなかった。「聞いたんだ。さんが…俺のこと好きって言ってくれてるって…///」
(アイツっ…!!よりによってそんなタチの悪い嘘を)
だから内容を教えてくれなかったのか…。
自分もある意味、ハメられたのだ。
「あの…えーっと、ほら、今日ってエイプリルフールでしょ!!?」
「エイプリルフール……って事は、嘘?」
「そう!嘘でしたー!!」
明るくタネ明かしはしてみたものの、騙された本人はあまりピンときていない様子。
「嘘…?…あぁ、そうか。今日は4月1日だもんな…そうか……そう、だよな」
それどころか、普段ならこの程度のことなら笑って流してくれそうな浮竹が
思いのほか呆然としている。「あの、えっと……ごめんなさい」
さすがに自分一人でのタネ明かしは、この場の雰囲気を悪くさせてしまうだけだった。
この場に友人が居てくれたらもっと笑ってすんだだろうか?
それ以前に、謝るくらいなら初めから人を騙すことなんかしなければ良いのに。ノリで行動したのが悪かったのだろうか。
第一、浮竹くんは今日のターゲットである『いつもバカにしてくる連中』には該当しないではないか。
そんな考えが頭からたくさん浮かんでくる。
「……じゃあ、私もう帰るね」
は騙したという後ろめたさと、重たい空気に耐えきれなくなり 逃げるようにして教室から出ようとした。
しかし…………
「待って、さん!!」
「え?」
帰ろうとするのを呼び止めると同時に、浮竹は強引にの腕を掴んだ。
「本当に…嘘、なの?」
真剣で、それでいて少し寂しそうな浮竹の表情。
「あれは、さんの友達が考えた嘘なのか?」
「あ……怒らせちゃったならごめん。調子に乗りすぎたね…」
「別に怒ってる訳じゃないんだ…ただ…」
未だの手を掴んだまま、浮竹はさらに表情を曇らせる。
何かを言おうとしているのだが、その言葉を声に出そうとはしていない。
「ただ?怒ったんじゃないなら、気分害しちゃった?」
「違う!別に嫌な気分になったわけじゃない!!その…嬉しいと……思ったんだ」
「え…それって…?」
自分の予想もしていなかった言葉が浮竹の口から出てきてしまい は上手く思考回路がついてこない。
「たった一瞬だったとしても、さんが俺のことを…って思ったら嬉しかったと言うか…期待したんだ」
「期待…って…」
真剣な浮竹の目に見つめられ、恥ずかしさからかついつい目が泳いでしまう。
掴まれたままの手も凄く熱く感じてしまう。
「さん、俺ー……」
「ー?まだここに居たの?次移動だから、早く行こう!」
浮竹が全ての言葉を言い終わらないうちに
先ほどの友人がなかなか帰ってこないを呼びに来た。「あ……ごめん!!私、先に行くね!!」
そう言っては少し顔を赤くしたまま友人の元に走って行き、
教室には浮竹一人となってしまった。「………はぁ」
ついつい感情的になってしまった自分に対して、自然とため息が出てくる。
自分としてはめずらしく勇気を振り絞ってみたのだが。
「焦りすぎたか……」
やはりいまいちムードというものが掴めず、上手くいかない。
彼女たちの悪ふざけという事は十分承知だった。
このくらいの事など、笑って流してしまえばいいのに。
ただ、今回ばかりはそうも出来なかった。
相手が、だったからー……
自分の想い続けている人だったから。
その嘘の中に、ほんの少しで良いから本心が含まれていなかったのか
本当は、「嘘」だというのも「嘘」だったのではないかと
馬鹿正直に期待してしまった自分が居た。
「今日が4月1日じゃなければ…幸せだったのにな……」
我ながら後に引きずる性格だったのだなと、
女々しすぎるのではないかと、思う。
でもいつかきっと、彼女の嘘を真実にしてみせるからー………。
END
一日遅れのエイプリルフール!!
って結構ありがちなネタに。
学院時代夢、書きやすいです。
ヒロインも本当は浮竹の事意識してるんです。
でも鈍いというか…素直に自分の気持ちを認められないんですね。
やっぱり最後は力尽きて強制終了;;06.4.02雄斗